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お金の基礎 10 / 金利
金利が上がって喜ぶ人と困る人が、同じ家計のなかに同居している。
預金の利息、住宅ローンの返済額、保有している債券の価格。この三つは同じ金利変動に対して逆方向に動く。
長らく日本では「金利はゼロ」が前提だった。その前提が変わりつつある。
2025 年 12 月に政策金利が 0.5% から 0.75% へ引き上げられ、約 30 年ぶりの水準となった。長期金利(新発 10 年国債利回り)も 2026 年 7 月時点で 2.830% と、1996 年 10 月以来の水準に達している。
目次
家計の三か所が同時に動く

預金 — 利息は増えるが、物価に勝てるとは限らない
金利上昇は預金者にとって朗報である。ただし注意すべきは実質的な価値だ。
金利が 1% でも物価が 2% 上昇していれば、実質では目減りしている。名目の利息だけを見て「預金で十分」と判断するのは早い。
住宅ローン — 変動金利は返済額に直結する
変動金利で借りている場合、政策金利の上昇は返済額に影響する。ただし影響の出方は契約条件によって異なる。
5年ルール・125%ルールに注意多くの変動金利ローンには、返済額の見直しを 5 年ごとにする、見直し時も従前の 1.25 倍を上限とする、といった条項がある。返済額がすぐには増えない代わりに、利息の比率が増えて元本が減りにくくなる。「返済額が変わらないから影響がない」わけではない。
債券 — 金利が上がると既発債の価格は下がる
すでに発行されている債券は、より高い利率の新発債が出れば相対的に魅力を失う。したがって価格は下落する。
債券は「安全資産」と説明されることが多いが、それは満期まで保有した場合の元本と利息が確定しているという意味であって、途中の価格が動かないという意味ではない。
金利上昇局面でやってはいけないこと
- 金利を予測して大きく動かす——プロでも当たらない。日銀の政策変更のタイミングを個人が読むのは現実的でない
- 「金利が上がるから株は下がる」と単純化する——銀行など金利上昇が追い風になる業種もあり、影響は一様ではない
- 変動から固定への借り換えを慌てて決める——固定金利には既に将来の金利上昇が織り込まれている。手数料も含めた総額で比較する必要がある
金利が動いたときに慌てて動くくらいなら、金利が動いても慌てなくていい設計にしておくほうが早い。
やっておくと効くこと
- 住宅ローンの契約条件を確認する変動か固定か、見直しのルール、優遇金利の適用条件。まず自分の契約がどうなっているかを把握する。返済予定表を見れば分かる。
- 生活防衛資金の置き場所を見直す金利が付く環境になったので、普通預金以外の選択肢も検討に値する。ただし流動性を犠牲にしないことが前提である。
- 資産配分に債券が入っているか確認する株式だけを持っている場合、金利上昇局面での値動きの緩衝材がない状態になる。
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よくある質問
- 金利が上がると住宅ローンの返済額はすぐ増えますか?
- 契約によります。多くの変動金利ローンでは返済額の見直しが 5 年ごと、見直し時の上限が従前の 1.25 倍といった条項があります。返済額が据え置かれる場合でも、利息の割合が増えて元本が減りにくくなる点には注意が必要です。
- 金利が上がると債券は損をしますか?
- すでに保有している債券は、金利上昇により価格が下落します。ただし満期まで保有すれば額面と利息は受け取れます。途中売却する場合に損失が生じる可能性がある、という関係です。
- 金利上昇局面では株を売るべきですか?
- 業種によって影響が異なるため、一律には言えません。金利上昇が収益にプラスに働く業種もあります。金利予測にもとづく売買は、プロでも精度が高くありません。
- 変動金利から固定金利に借り換えるべきですか?
- 固定金利には将来の金利上昇見通しが既に織り込まれています。手数料を含めた総返済額で比較し、金利上昇が家計に与える影響の大きさから判断してください。
出典
- 日本経済新聞「長期金利2.830%、30年ぶり高さ」ほか各種報道(2026 年 7 月時点)
- 日本銀行の金融政策決定会合に関する公表資料
本記事は公開情報にもとづく個人の解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。制度・手数料・ポイント還元の条件は改定されることがあります。実際のご判断は必ず金融庁・各運用会社・各証券会社の最新の公式情報をご確認のうえ、ご自身の責任でお願いいたします。

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