読了時間の目安約 11 分5,010 字
ロングは「買い」とほぼ同じ。ただし、その「ほぼ」に意味がある。
分からない言葉が出てきたら止まる。株の世界には、分かったふりをさせる言葉が大量にあります。
「ロング」は買い持ち、「ショート」は売り持ち。ロングは株価が上がると利益、ショートは下がると利益になる。なぜ「買い」と言わずにロングと言うのかというと、「買う」は行為を指し、「ロング」は上がると得をする状態を指すからだ。両方向に賭けられる世界では、行為ではなく向きを表す言葉が必要になる。この記事では、それ以外の基本用語も「いつ使うか」の場面ごとに整理する。
このシリーズは、最近 NISA を始めたばかりのわたしが、疑問をそのまま先生にぶつける形で進めます。先生は正確ですが、口は悪いです。
① 方向の用語 — ロングとショート


| 用語 | 意味 | 利益が出るとき |
|---|---|---|
| ロング | 買って持っている状態(買い持ち) | 株価が上がったとき |
| ショート | 売って持っている状態(売り持ち) | 株価が下がったとき |
| ノーポジ | 何も持っていない状態 | ——(損も得もしない) |
「買う」は行為を指す言葉。「ロング」は、上がると得をする状態を指す言葉である。
だから「ロング」と「ショート」は行為ではなく向きを表している。両方向に賭けられる世界では、「買った・売った」だけでは今どちら側にいるのか伝わらない。
② 持っているものの用語 — ポジションと建玉
| 用語 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| ポジション | —— | 今どんな状態で持っているか。持ち高 |
| 建玉 | たてぎょく | 信用取引で持っている未決済のもの |
| 建値 | たてね | 買った(売った)ときの値段 |
| 現物 | げんぶつ | 自分のお金で買って、そのまま持っている株 |
| 信用 | しんよう | 証券会社からお金や株を借りて売買すること |
| 決済 | けっさい | 持っているものを反対売買して終わらせること |
③ 損益の用語 — 含みと実現


| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 含み益 | まだ売っていないのに出ている利益 |
| 含み損 | まだ売っていないのに出ている損 |
| 実現損益 | 売って確定した損益。ここではじめて税金の対象になる |
| 平均取得単価 | 複数回買ったときの、1 株あたりの平均の値段 |
| ナンピン | 下がったところで買い増して、平均取得単価を下げること |
「塩漬け」という言葉について
用語の中には、事実をやわらげるために使われるものがある。そこは疑ってかかっていい。
④ 売買のタイミングの用語
| 用語 | 意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| 利確 | 利益が出ている状態で売って確定させること | 早すぎることが多い、と言われがち |
| 損切り | 損が出ている状態で売って確定させること | 遅れることが多い。最大の課題 |
| 押し目 | 上昇の途中で一時的に下がった場面 | 本当に「途中」かは後にならないと分からない |
| 戻り | 下落の途中で一時的に上がった場面 | 同上 |
| 高値掴み | 高いところで買ってしまうこと | 結果論でしか判定できない |
| ドテン | ロングからショート(逆も)へ一気に切り替えること | 初心者が手を出す場面ではない |
⑤ 覚えなくていい用語もある
用語をすべて覚える必要はない。自分がやらない取引の用語は、意味を知っておけば十分である。
- 追証(おいしょう)——信用取引で損が膨らみ、追加の保証金を求められること
- 逆日歩(ぎゃくひぶ)——空売りが集中したときに発生する追加コスト
- 両建て——同じ銘柄でロングとショートを同時に持つこと
- ドテン——持ち高を反対方向へ一気に切り替えること
これらはすべて信用取引を使う人の言葉である。現物で積立をしている人には、当面まったく必要ない。
用語を覚えるより大事なこと
今日のまとめ
- ロング=買い持ち。上がると利益
- ショート=売り持ち。下がると利益。日本株では信用取引の口座が必要
- 「買う」は行為、「ロング」は上がると得をする状態を指す
- 建値=買った値段。ここを境に含み益と含み損が決まる
- 含み損益は、売るまで確定しない。実現損益になってはじめて税金の対象
- 「塩漬け」は、損切りできなかった状態の言い換え
- 「押し目買い」と「高値掴み」は、同じ行動の結果違い
- 追証・逆日歩・両建て・ドテンは信用取引の言葉。意味は知り、使わなくていい
- 用語を知る目的は、言葉にごまかされないこと
次回は注文のときに使う用語(成行・指値・逆指値・板)を扱う。ここは知らないまま注文すると、実際に損をしうる場所である。
関連記事
- 日本株と米国株、何が違うの?【第7回】
- 買ったあと下がって怖い。売るべき?【第4回】
- 信用取引の仕組み — 委託保証金・追証・制度信用と一般信用の違い
- 私が空売りをしない理由 — 考えることが二倍になるから
- 買付余力とは何か — 残高があるのに注文できない理由
- 出口を決めてから買う — 損切り価格から株数を逆算する
- 単元未満株とは — 1株から買える仕組みと、単元株との違い
よくある質問
- 株の「ロング」とはどういう意味ですか?
- 株を買って持っている状態(買い持ち)を指し、株価が上がると利益になります。「買う」が行為を指すのに対し、「ロング」は上がると得をする状態を指す言葉です。反対に売り持ちの状態はショートと呼び、株価が下がると利益になります。
- ロングとショートの違いは何ですか?
- 利益が出る方向が逆です。ロングは株価が上がると利益、ショートは下がると利益になります。ショートは持っていない株を証券会社から借りて先に売り、あとで買い戻して返す取引で、日本株では信用取引の口座が必要です。
- 含み益と実現損益の違いは何ですか?
- 含み益はまだ売っていない状態で出ている利益で、確定していません。売って決済した時点で実現損益となり、ここではじめて税金の対象になります。含み益は表示されているだけで、翌日には含み損になる可能性もあります。
- 「塩漬け」とはどういう意味ですか?
- 大きな含み損を抱えたまま、売らずに放置している状態を指します。実質的には損切りができなかった状態を柔らかく言い換えた表現であり、言葉が穏やかでも損失額そのものは変わりません。
- 「押し目買い」と「高値掴み」の違いは何ですか?
- 買った時点では区別できません。買ったあとに株価が上がれば押し目買い、下がれば高値掴みと呼ばれます。同じ行動に対して、結果によって後から違う名前がつけられているだけです。
- 建値とは何ですか?
- 買った(または売った)ときの値段を指します。現在の株価が建値より上なら含み益、下なら含み損になります。複数回に分けて買った場合は、1株あたりの平均である平均取得単価が基準になります。
本記事は公開情報にもとづく個人の解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。制度・手数料・ポイント還元の条件は改定されることがあります。実際のご判断は必ず金融庁・各運用会社・各証券会社の最新の公式情報をご確認のうえ、ご自身の責任でお願いいたします。









コメント