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はじめに
受験上の配慮とは、病気や障害などのある人が大学入試を受けるときに、別室で受けたり、回答形式を変えてもらったり、試験時間を延ばしてもらったりできる制度です。共通テストは大学入試センターへ、個別試験は各大学へ申請します。
制度の説明は公式サイトに載っています。しかし実際に何を申請して、何が通って、何が落ちたのか。それを書いたものは探しても見つかりません。結局は申請した本人の頭の中にしかない情報です。
私はADHDの診断を受けています。共通テストと、早慶から日東駒専までの私大で配慮を申請しました。その記録をそのまま書きます。

中身は私が実際に受けた経験が中心です。締切や書類の名称といった制度の部分は、大学入試センターの公表資料で調べ直したものを載せています。裏が取れなかったものは断定していません。
特に読んでいただきたいのが第2章と第3章です。時間延長が落ちても申請書に書く理由と、回答形式を試験のタイプで選び分ける話。この2つは、知っているかどうかだけで結果が変わります。
※本記事はADHDの診断を受けた私個人の申請記録です。ASDが主な特性の方や、別の疾患のある方は、認められる内容が変わります。各大学の配慮を担当する窓口に、直接お尋ねください。
締切は10月2日|第1章 申請の前に
内容より先に日付です。ここを過ぎると、その年の申請はできません。

第1期に出した人には、9月24日までに審査結果の通知が届きます。第2期はもう結果を待つ時間がありません。急いでください。
必要な書類は3つ。手帳はいりません
意外に思われるかもしれませんが、障害者手帳は必要ありません。私は手帳を大学卒業のころに取りました。受験では使っていませんし、使えなかったはずです。

時間がかかるのは【B】と【C】です。どちらも自分では書けません。受験の年の夏に入ったら、病院と学校に先に声をかけておくべきだと思います。
時間延長は全部落ちた|第2章 何が通って、何が落ちたか
結論から書きます。時間延長は通りませんでした。共通テストでも、出願した私大でも、すべて却下です。

私のIQは全体では平均程度です。ただし内訳に差があり、言語理解と知覚推理は高く、ワーキングメモリだけが境界知能にぎりぎり入る水準にあります。その差はおよそ50。数字の上でははっきりした凸凹ですが、それでも時間延長は認められませんでした。
おそらく試験の公平性という観点からなのでしょう。IQそのものに問題のない型では、まず出ないのではないでしょうか。
それでも、申請書には書いたほうがいい
落ちると分かっているものを、なぜ書くのか。別室受験と回答形式を取りに行くためです。
配慮申請は、どれだけ困っているかを伝える場です。最初から「別室だけで結構です」と小さく出すと、その別室すら落ちることがあります。
時間延長という大きい要求を先に掲げておく。そしてそれを却下する余地として審査側に残しておく。すると相対的に、別室と回答形式は認められやすくなります。
大きい要求を先に出して断らせる。そのあとの小さい要求が通りやすくなる。
交渉の世界でドア・イン・ザ・フェイスと呼ばれる手法に近い考え方です。最初に大きな要求をぶつけて相手に断らせると、次に出す小さな要求が通りやすくなる。営業ではよく知られた話ではないでしょうか。
補足
大学入試センターの資料にも、「障害等の種類や程度にかかわらず、必要な配慮事項を申請することができる」と書かれています。さらに「不許可とする配慮事項について、代替措置となる配慮事項がある場合は志願者に提案」とも。却下されて終わりではなく、代案が返ってくる作りになっています。

✓方式か、書き込み型か|第3章 回答形式の選び方
ここがいちばん差がつくところです。同じ「回答形式の変更」でも、受ける試験のタイプに合っていないと、かえって不利になります。
選べるのは主に3つです。まず、ご自身がどれに当てはまるかを見てください。
- 共通テストなど、全問マーク式の試験を受ける → チェック解答(✓方式)
- マークと記述が混ざる私大を受ける → 書き込み型
- 問題冊子に直接書き込ませる形式の大学を受ける → 書き込み型は避ける
- 記述量が多い。細かい字を書くのが苦手 → 解答欄の拡大
① チェック解答(✓方式)
マークシートを塗りつぶす代わりに、レ点で答える方式です。全問マーク式の試験では、これがいちばん効きます。
塗りつぶす作業は、特性によっては想像以上に負荷がかかります。塗りムラ、ずれ、塗り直し。問題の中身とまったく関係のないところで、時間とミスが出ます。それが丸ごと消えます。
② 書き込み型
解答欄に「ア」「①」などを自分で書き込む方式です。駿台や河合塾の模試の解答用紙を思い浮かべてください。
マークと記述が混ざる私大では、これが最も扱いやすいと感じました。マークを塗る必要がなく、記述も同じ用紙で書けます。
ただし問題冊子に直接書き込ませるタイプの大学では、大問番号も問題番号も自分で書くことになります。これがかなり煩雑で、私はこれを知らずに1校で損をしました。
③ 解答欄の拡大
「特性上、細かい字を書くのが苦手なので、記述式の解答欄を大きくしてほしい」。この理由で認められた大学があります。
字数指定のある英作文などで、解答欄が狭くて困った経験のある方は検討する価値があります。字数の感覚は塾の先生と相談して決めてください。
別室はこういう部屋でした|第4章 当日の話
冒頭の写真が、実際に私が受けた別室です。長机が並び、椅子が置かれ、壁に受験者心得が貼ってある。それだけの部屋です。
静かに受けられることが別室の目的ですが、実務的な利点がいくつかありました。
- 規制退場に巻き込まれない:別室は出入口が分かれていることが多く、試験後の「○番から退場」という待ち時間が発生しません。終わったらすぐ帰れます
- 別館・別フロアが用意される:都内の、それなりの規模の大学では、配慮者用に別の建物や階が確保されていました。地方は分かりません
- 監督者の配置:前に2人、後ろに1人でした。最初は多く感じましたが、始まれば気になりません
私が受験した範囲での話です。会場によって運用は異なります。
コピーを取っておく|第5章 書類の実務
地味ですが、知らずにいちばん消耗したのがこれです。
配慮申請は、受ける大学の数だけ必要です。共通テストへの申請とは別に、各大学の個別試験にも出します。
私はそれを知らず、申請のたびに病院へ診断書をもらいに行っていました。受験期に何度も通院するのは、時間の面でも体力の面でもこたえます。私が受けた範囲では、写しで使い回すことができました。受け取った時点で、申請する数だけコピーしておいてください。
要項は大学ごとに違います。出願要項を読み、障害学生支援室などにご確認ください。共通テストについては、センター指定の様式に医師が記入したものが必要です。
おわりに
受験上の配慮は、知っているかどうかだけで結果が変わる制度です。
特に「時間延長を掲げて、別室と回答形式を取りに行く」という考え方は、私が調べた範囲ではどこにも書かれていませんでした。必要な方に届けばと思います。
- 書類:診断書と意見書は必須。障害者手帳は不要
- 時間延長:通らない。それでも申請書には書く
- 全問マーク式:チェック解答(✓方式)
- マーク+記述:書き込み型
- 記述が多い:解答欄の拡大
- 書類:写しで使い回す
- 締切:2026年10月2日必着 / 9月30日消印有効
繰り返しになりますが、これはADHDの診断を受けた私個人の記録です。ASDが主な特性の方、別の疾患のある方は、必ず各大学の配慮窓口に直接お尋ねください。
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補足
出典
・大学入試センター「令和9年度 大学入学共通テスト受験上の配慮Q&A」
・大学入試センター「令和9年度試験」
・大学入試センター「大学入学共通テストにおける受験上の配慮について」(文部科学省 公開資料)
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