受験の配慮を申請したら、時間延長は全部落ちた話

受験上の配慮を使った話 時間延長は、全部落ちた

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目次

はじめに

受験上の配慮とは、病気や障害などのある人が大学入試を受けるときに、別室で受けたり、回答形式を変えてもらったり、試験時間を延ばしてもらったりできる制度です。共通テストは大学入試センターへ、個別試験は各大学へ申請します。

制度の説明は公式サイトに載っています。しかし実際に何を申請して、何が通って、何が落ちたのか。それを書いたものは探しても見つかりません。結局は申請した本人の頭の中にしかない情報です。

私はADHDの診断を受けています。共通テストと、早慶から日東駒専までの私大で配慮を申請しました。その記録をそのまま書きます。

別室受験の会場。長机と椅子が一つ置かれ、壁には受験者心得の掲示がある
某東京教育大学で受けた時の写真。別室とは、こういう部屋です。

中身は私が実際に受けた経験が中心です。締切や書類の名称といった制度の部分は、大学入試センターの公表資料で調べ直したものを載せています。裏が取れなかったものは断定していません。

特に読んでいただきたいのが第2章と第3章です。時間延長が落ちても申請書に書く理由と、回答形式を試験のタイプで選び分ける話。この2つは、知っているかどうかだけで結果が変わります。

※本記事はADHDの診断を受けた私個人の申請記録です。ASDが主な特性の方や、別の疾患のある方は、認められる内容が変わります。各大学の配慮を担当する窓口に、直接お尋ねください。

締切は10月2日|第1章 申請の前に

内容より先に日付です。ここを過ぎると、その年の申請はできません。

令和9年度共通テストの受験上の配慮の申請期間。第1期は2026年7月1日(水)〜8月28日(金)で、8月28日必着・8月26日(水)消印有効(終了)。第2期は2026年8月31日(月)〜10月2日(金)で、10月2日必着・9月30日(水)消印有効。出願期間は2026年9月15日(火)〜10月2日(金)。
令和9年度(2027年1月実施)大学入学共通テスト。大学入試センターの公表値。申請は郵送のみで、書類は共通テスト出願サイトのマイページから取ります。

第1期に出した人には、9月24日までに審査結果の通知が届きます。第2期はもう結果を待つ時間がありません。急いでください。

必要な書類は3つ。手帳はいりません

意外に思われるかもしれませんが、障害者手帳は必要ありません。私は手帳を大学卒業のころに取りました。受験では使っていませんし、使えなかったはずです。

必要な書類。【A】受験上の配慮申請書は欲しい配慮を本人が書く。【B】診断書はセンター指定の様式に医師が記入する。【C】状況報告書は普段の様子を学校の先生などの第三者が書き、大学の個別試験では「意見書」と呼ばれることが多い。障害者手帳は不要。
共通テストの書類名は大学入試センターの公表資料によります。個別試験は大学ごとに異なるので、要項をご確認ください。

時間がかかるのは【B】と【C】です。どちらも自分では書けません。受験の年の夏に入ったら、病院と学校に先に声をかけておくべきだと思います。

時間延長は全部落ちた|第2章 何が通って、何が落ちたか

結論から書きます。時間延長は通りませんでした。共通テストでも、出願した私大でも、すべて却下です。

申請した配慮と結果。試験時間の延長は共通テストで却下、私大もすべて却下。別室受験は共通テスト・私大とも許可。チェック解答は共通テストで許可、私大はマーク式の大学で許可。解答欄の拡大は私大で許可された大学あり。
私が出した申請の結果です。

私のIQは全体では平均程度です。ただし内訳に差があり、言語理解と知覚推理は高く、ワーキングメモリだけが境界知能にぎりぎり入る水準にあります。その差はおよそ50。数字の上でははっきりした凸凹ですが、それでも時間延長は認められませんでした。

おそらく試験の公平性という観点からなのでしょう。IQそのものに問題のない型では、まず出ないのではないでしょうか。

それでも、申請書には書いたほうがいい

落ちると分かっているものを、なぜ書くのか。別室受験と回答形式を取りに行くためです。

配慮申請は、どれだけ困っているかを伝える場です。最初から「別室だけで結構です」と小さく出すと、その別室すら落ちることがあります。

時間延長という大きい要求を先に掲げておく。そしてそれを却下する余地として審査側に残しておく。すると相対的に、別室と回答形式は認められやすくなります。

大きい要求を先に出して断らせる。そのあとの小さい要求が通りやすくなる。

交渉の世界でドア・イン・ザ・フェイスと呼ばれる手法に近い考え方です。最初に大きな要求をぶつけて相手に断らせると、次に出す小さな要求が通りやすくなる。営業ではよく知られた話ではないでしょうか。

補足
大学入試センターの資料にも、「障害等の種類や程度にかかわらず、必要な配慮事項を申請することができる」と書かれています。さらに「不許可とする配慮事項について、代替措置となる配慮事項がある場合は志願者に提案」とも。却下されて終わりではなく、代案が返ってくる作りになっています。

令和5年度の共通テストで受験上の配慮が決定した人数を区分別に並べた横棒グラフ。その他1,649人、病弱933人、聴覚障害549人、発達障害450人、肢体不自由366人、視覚障害102人
令和5年度の配慮決定者は合計4,049人。前年度は3,685人でした。同じ年の志願者が512,581人ですから、およそ127人に1人という割合になります。

✓方式か、書き込み型か|第3章 回答形式の選び方

ここがいちばん差がつくところです。同じ「回答形式の変更」でも、受ける試験のタイプに合っていないと、かえって不利になります。

選べるのは主に3つです。まず、ご自身がどれに当てはまるかを見てください。

  • 共通テストなど、全問マーク式の試験を受ける → チェック解答(✓方式)
  • マークと記述が混ざる私大を受ける → 書き込み型
  • 問題冊子に直接書き込ませる形式の大学を受ける → 書き込み型は避ける
  • 記述量が多い。細かい字を書くのが苦手 → 解答欄の拡大

① チェック解答(✓方式)

マークシートを塗りつぶす代わりに、レ点で答える方式です。全問マーク式の試験では、これがいちばん効きます。

塗りつぶす作業は、特性によっては想像以上に負荷がかかります。塗りムラ、ずれ、塗り直し。問題の中身とまったく関係のないところで、時間とミスが出ます。それが丸ごと消えます。

② 書き込み型

解答欄に「ア」「①」などを自分で書き込む方式です。駿台や河合塾の模試の解答用紙を思い浮かべてください。

マークと記述が混ざる私大では、これが最も扱いやすいと感じました。マークを塗る必要がなく、記述も同じ用紙で書けます。

ただし問題冊子に直接書き込ませるタイプの大学では、大問番号も問題番号も自分で書くことになります。これがかなり煩雑で、私はこれを知らずに1校で損をしました。

③ 解答欄の拡大

「特性上、細かい字を書くのが苦手なので、記述式の解答欄を大きくしてほしい」。この理由で認められた大学があります。

字数指定のある英作文などで、解答欄が狭くて困った経験のある方は検討する価値があります。字数の感覚は塾の先生と相談して決めてください。

別室はこういう部屋でした|第4章 当日の話

冒頭の写真が、実際に私が受けた別室です。長机が並び、椅子が置かれ、壁に受験者心得が貼ってある。それだけの部屋です。

静かに受けられることが別室の目的ですが、実務的な利点がいくつかありました。

  • 規制退場に巻き込まれない:別室は出入口が分かれていることが多く、試験後の「○番から退場」という待ち時間が発生しません。終わったらすぐ帰れます
  • 別館・別フロアが用意される:都内の、それなりの規模の大学では、配慮者用に別の建物や階が確保されていました。地方は分かりません
  • 監督者の配置:前に2人、後ろに1人でした。最初は多く感じましたが、始まれば気になりません

私が受験した範囲での話です。会場によって運用は異なります。

コピーを取っておく|第5章 書類の実務

地味ですが、知らずにいちばん消耗したのがこれです。

配慮申請は、受ける大学の数だけ必要です。共通テストへの申請とは別に、各大学の個別試験にも出します。

私はそれを知らず、申請のたびに病院へ診断書をもらいに行っていました。受験期に何度も通院するのは、時間の面でも体力の面でもこたえます。私が受けた範囲では、写しで使い回すことができました。受け取った時点で、申請する数だけコピーしておいてください。

要項は大学ごとに違います。出願要項を読み、障害学生支援室などにご確認ください。共通テストについては、センター指定の様式に医師が記入したものが必要です。

おわりに

受験上の配慮は、知っているかどうかだけで結果が変わる制度です。

特に「時間延長を掲げて、別室と回答形式を取りに行く」という考え方は、私が調べた範囲ではどこにも書かれていませんでした。必要な方に届けばと思います。

  • 書類:診断書と意見書は必須。障害者手帳は不要
  • 時間延長:通らない。それでも申請書には書く
  • 全問マーク式:チェック解答(✓方式)
  • マーク+記述:書き込み型
  • 記述が多い:解答欄の拡大
  • 書類:写しで使い回す
  • 締切:2026年10月2日必着 / 9月30日消印有効

繰り返しになりますが、これはADHDの診断を受けた私個人の記録です。ASDが主な特性の方、別の疾患のある方は、必ず各大学の配慮窓口に直接お尋ねください。

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補足
出典
・大学入試センター「令和9年度 大学入学共通テスト受験上の配慮Q&A」
・大学入試センター「令和9年度試験」
・大学入試センター「大学入学共通テストにおける受験上の配慮について」(文部科学省 公開資料)


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この記事を書いた人

お某大手で社内ニートを務める戦士

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