どの物差しで測っても割安なのか。それとも、その物差しでだけ割安なのか。
適正株価の計算方法は 1 つではありません。利益から測る、資産から測る、将来利益から測る。3 つが一致したときと、1 つだけが割安を示すときでは、意味がまったく違います。
適正株価という言葉には確かな響きがありますが、その中身は「どの物差しで測ったか」で変わります。代表的なものが 3 つあります。
適正 PER × EPS。利益が安定している企業に向きます。一過性の利益で EPS が跳ねていると、そのまま歪みます。
適正 PBR × BPS。銀行や景気敏感株のように、資産の規模が価値に直結する業種に向きます。
数年後の利益を想定し、現在価値に割り引きます。成長企業向け。前提の置き方で結果が大きく動きます。
「3 つとも割安」と「1 つだけ割安」の差
同じ銘柄をこの 3 つで測ると、結果が割れることがあります。私はこの一致数を重視しています。
3 つとも割安を示す銘柄は、どの角度から見ても安いということです。仮説の 1 つが外れても、他の 2 つが支えます。頑健な割安さと言えます。
一方、PER 基準だけが割安で他が適正という銘柄は、「利益が一時的に大きく見えているだけ」という可能性を含みます。この場合、割安さはその物差し固有のものであり、仮説が外れると一気に崩れます。
独立した複数の物差しが同時に指す方向は、単一の物差しが示す大きな数字より信用できる。
一致しないときこそ、理由を書き留める
一致数が低い銘柄を全部捨てているわけではありません。むしろ、そこにこそ人間の判断が要ります。
たとえば PBR 基準だけが割安を示す地方銀行があったとして、「本業は健全なのに業界全体の連想売りで下げている」という見立てがあるなら、それは買う理由になりえます。ただしその場合、なぜ他の物差しでは割安に見えないのかを言語化して残しておく。数週間後に、その前提が生きているか確認するためです。
物差しを持たない対象もある
ETF のように EPS が存在しない対象では、この比較自体が成立しません。私は移動平均への回帰という別の物差しを使い、他のモデルとは混ぜないようにしています。測れないものを無理に測ると、数字が出てしまうぶん、かえって危ないからです。
まとめ
- 適正株価は「どの物差しで測ったか」で変わる
- 3 モデルの一致は、単独の大きな乖離より信頼できる
- 1 モデルだけの割安は、その仮説が外れた瞬間に消える
- 一致しない銘柄を買うなら、理由を言語化して残す
- 測れない対象に無理に物差しを当てない
本記事は個人の考えと記録であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
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