投資信託の売り時はいつか — 売っていい3つの理由と、使う3年前からの現金化

投資信託の売り時はいつか — 売っていい理由は3つだけ

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投資の基本 10 / 売却の判断

売り時を教えてくれる指標は、ありません。

あるのは「売っていい理由のリスト」と、使う時期から逆算した現金化のスケジュールだけです。

結論

投資信託を売っていい理由は ①使う予定が来た ②商品の前提が変わった ③資産配分が崩れた の3つ。「下がりそうだから」「十分上がったから」はここに含まれません。

時期の目安があるとすれば、使う予定の3年前から段階的に現金へ移していくことです。「そのとき売る」ではなく「そのときまでに売り終えている」状態を作ります。

課税口座で売ると譲渡益の20.315%が引かれます。取得価額の2倍まで育った資産なら、評価額に対する実質税率は約10%。売る判断には、この税金も含めて考えてください。

目次

売っていい3つの理由

Fig. 売却の判断基準投資信託を売っていい3つの理由|使う予定が来た・商品の前提が変わった・資産配分が崩れた
この3つ以外の理由で売るなら、それは相場を予測していることになる。
figcaption

① 使う予定が来た

住宅の頭金、教育費、老後の生活費。当初その資金を何に使う予定だったかが到来したなら、売るのは目的の達成です。

この場合、相場が高いか安いかは判断に関係しません。使う時期は延期できないからです。だからこそ、使う時期が近い資金は事前に現金へ移しておく必要があります。具体的な手順は後述します。

② 商品の前提が変わった

保有しているファンド自体に変化があった場合です。これは相場の予測ではなく事実の確認なので、判断に迷いが生じにくい。

何が起きたか売却を検討する理由
信託報酬が引き上げられた低コストで選んだなら、選んだ理由が消えた
連動する指数が変更された買ったときと中身が変わっている
運用方針が変わった同上
純資産が大きく減った繰上償還のおそれ。強制的に売却させられる可能性がある
同じ指数でより低コストのファンドが出た乗り換えの検討対象。ただし税コストと比較する
いずれも「買った理由が消えた」ケース
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最後の「より安いファンドへの乗り換え」だけは注意が必要です。課税口座では売却時に譲渡益の20.315%が課税されるので、信託報酬の差で取り返せるまでに何年かかるかを計算してください。信託報酬が年0.1%下がるだけなら、税金を払ってまで乗り換える価値はまずありません。

③ 資産配分が崩れた

株式が上昇し続けると、放置していても株式の比率は上がっていきます。当初決めた配分から離れたときに元へ戻すのがリバランスです。

これは「上がったから売る」ではなく「比率を戻すために売る」という別の行為です。売る金額が配分によって機械的に決まる点が違います。

目安としては、当初の配分から5〜10ポイント以上ずれたとき、または年1回の決まった日に確認する、というルールにしている人が多い。頻繁にやると売買コストと税金がかさむだけなので、年1回で十分です。

「売り時の目安」があるとすれば — 使う3年前から

「投資信託の売り時」で探している人の多くは、本当は「いつまでに現金にしておけばいいか」を知りたいのだと思います。それなら答えられます。

相場は1〜2年で30%下がることがあります。使う年に下落局面が重なると、目標額に届かないまま取り崩すことになる。これを避けるには、使う時期から逆算して段階的に現金化していきます。

使う時期までの残りリスク資産の割合やること
4年以上100%そのまま積立を続ける
3年前75%4分の1を売却して現金・個人向け国債などへ
2年前50%さらに4分の1を移す
1年前25%さらに4分の1を移す
使う年0%残りを移して完了
教育費・住宅頭金など、使う時期が決まっている資金の現金化の例
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「そのとき売る」ではなく「そのときまでに売り終えている」。売り時を当てる必要がなくなるのは、この設計だけである。
老後資金のように「使い始めるが一度には使わない」お金は、全額を現金化する必要はありません。取り崩しの3〜5年分だけを現金で確保し、残りは運用を続けるという形が一般的です。

売ったらいくら引かれるのか

課税口座(特定口座・一般口座)で売ると、譲渡益に20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が課税されます。評価額全体ではなく、増えた分だけにかかります。

取得100万円が育った額譲渡益税額手取り評価額に対する実質税率
150万円50万円101,575 円1,398,425 円6.8%
200万円100万円203,150 円1,796,850 円10.2%
300万円200万円406,300 円2,593,700 円13.5%
500万円400万円812,600 円4,187,400 円16.3%
課税口座の場合。NISA口座ならいずれも非課税
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長く持って大きく育つほど、評価額に対する実質税率は上がっていきます。これは売るのを我慢する理由にはなりません(使うために売るなら必要な費用です)が、「なんとなく利益確定」のコストとしては見ておく価値があります。

「下がりそうだから売る」がうまくいかない理由

売る判断が当たっても、買い戻す判断が外れれば意味がありません。判断の回数が2倍になるからです。

相場が下がると予想して売った場合、その後に必要なのは「いつ買い戻すか」という2つ目の判断です。実際には、下落が始まると「まだ下がる」と考えて買えず、上昇に転じると「戻ってから買うのは悔しい」と考えて買えない。売った時点より高い水準で買い直すことになるのが典型的な結末です。

「十分上がったから利益確定」も同じ構造です。利益確定した現金の置き場所と、次に買うタイミングという問題が新しく生まれます。使う予定がないなら、売る必然性はありません

NISAの売却枠は翌年復活する

NISA口座で売却すると非課税枠は復活しますが、翌年です。復活するのは取得時の価額(簿価)に対応する分に限られます。

100万円で買ったものが150万円に育って売った場合、翌年に復活するのは100万円分。値上がりした50万円分の枠は戻りません。つまり同一年内に売って買い直すという運用は制度上できない。この点も、安易な売却を避ける理由になります。

取り崩し方 — 定額か、定率か

使う段階に入ったときの取り崩し方には2種類あります。どちらを選ぶかで、資産のもち方がまったく変わります。

方法中身性質
定額毎年決まった金額(例:年60万円)を取り崩す生活設計は立てやすいが、相場が悪い年に多くの口数を売ることになる。資産が尽きる可能性がある
定率毎年残高の決まった割合(例:4%)を取り崩す相場が悪い年は受取額も減るが、理屈のうえでは資産が尽きにくい

定額で取り崩す場合の目安として、実質リターンを年3%と置いたときに資産がもつ年数はこうなります。

毎年の取り崩し額(当初残高に対して)資産がもつ年数の目安
3%(1,000万円なら年30万円)約80年(実質的に減らない)
4%(年40万円)約47年
5%(年50万円)約31年
6%(年60万円)約24年
8%(年80万円)約16年
実質リターン年3%・毎年同額を取り崩したときの概算。実際のリターンは毎年変動するため、この年数は保証されない
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よく言われる「4%ルール」はこの計算が背景にあります。ただしこれは米国の過去データにもとづく研究から来た目安で、日本円で生活する人にそのまま当てはまるとは限りません。取り崩し開始直後に大きな下落が来ると、この年数は大きく短くなります。

売る前に確認すること

STEP
売る理由が3つのどれに当たるか、言葉にする

「使う予定が来た」「商品の前提が変わった」「配分が崩れた」。どれにも当てはまらないなら、それは相場予測です。

STEP
使う時期が決まっている資金かを確認する

決まっているなら、売却の判断ではなく「事前の現金化」の問題として扱います。3年前から段階的に、が基本です。

STEP
NISAか課税口座かを確認する

課税口座なら譲渡益の20.315%が課税されます。NISAなら非課税ですが、枠の復活は翌年で、簿価分だけです。

STEP
売った後のお金の置き場所を決める

「とりあえず売る」といちばん困るのがここです。普通預金に置くのか、次に何を買うのか。決まっていないなら、まだ売らなくていい。

STEP
全部売る必要があるか考える

必要な金額だけ部分売却すれば済むことがほとんどです。全額売却は、商品の前提が変わったとき以外まず必要ありません。

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よくある質問

投資信託の売り時はいつですか?

売っていい理由は「使う予定が来た」「商品の前提が変わった」「資産配分が崩れた」の3つです。相場が下がりそう・十分上がったという理由は相場予測にもとづく判断で、売った後に「いつ買い戻すか」という2つ目の判断が必要になります。

投資信託の売却タイミングの目安はありますか?

相場を基準にした目安はありません。時期の目安があるとすれば、使う予定の3年前から段階的に現金化していくことです。3年前に25%、2年前にさらに25%、1年前にさらに25%と移していけば、使う年に下落が来ても影響を受けません。

投資信託を売るといくら税金がかかりますか?

課税口座では譲渡益(増えた分)に20.315%が課税されます(所得税15.315%+住民税5%)。取得100万円が200万円に育っていた場合、譲渡益100万円に対して203,150円です。NISA口座なら非課税です。

利益が出たら売って利益確定すべきですか?

利益確定そのものが目的なら、その後に買い戻す判断と、現金の置き場所という問題が新しく生まれます。使う予定がないのであれば、売る必然性はありません。

NISAで売却した枠はいつ使えますか?

翌年に復活します。復活するのは取得時の価額(簿価)に対応する分で、値上がりした分の枠は戻りません。同一年内に売って買い直すことはできません。

信託報酬が上がったら売るべきですか?

低コストであることが買った理由なら、前提が変わったことになります。ただし課税口座では売却益に課税されるため、信託報酬の差で税コストを取り返すのに何年かかるかを計算してから判断してください。差が年0.1%程度なら乗り換えの価値はまずありません。

取り崩しは毎年何%までなら大丈夫ですか?

実質リターンを年3%と置いた概算では、毎年4%の取り崩しで約47年、5%で約31年もちます。ただしこれは平均リターンが毎年得られた場合の計算で、取り崩し開始直後に大きな下落が来ると年数は大きく短くなります。

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本記事は公開情報にもとづく個人の解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。試算は前提を置いた概算で、実際の運用成果を保証するものではありません。実際のご判断はご自身の責任でお願いいたします。

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この記事を書いた人

自作の株価スクリーナー「KAIRI」の検証と、WordPress サイトの制作をしています。数字は IR・官公庁・取引所の一次情報で裏を取り、自分のツールが出した答えも疑ってから記事にしています。間違いに気づいたときは、記事の中で訂正します。

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