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9月2日、日経平均は1,889円下げました。ニュースはその数字を伝えます。
同じ日、10年国債の利回りは30年ぶりに3%を超えていました。そちらを報じた記事は、ずっと少なかったと思います。
株価の下げ幅は結果で、金利は原因の側にあります。それなのに、私たちが毎日目にするのは結果の数字だけです。
9月2日の1,889円安は「2.85%の下落」です。一方、同じ日に10年国債は2.987%から3.006%へ、0.019%ポイント動きました。見た目のインパクトは比べものになりませんが、効き方が長いのは後者です。
この記事は相場の予想をしません。大きい数字ほど重要とは限らないという、それだけの話です。
その日、2つの数字が動いた
| 9月1日 | 9月2日 | 変化 | |
|---|---|---|---|
| 日経平均(終値) | 66,215.34 | 64,325.64 | −1,889.70 −2.85% |
| 10年国債(利回り) | 2.987% | 3.006% | +0.019%ポイント 30年ぶりの3%台 |
| 30年国債(利回り) | 4.131% | 4.122% | −0.009%ポイント |
片方は4桁で、片方は小数第3位です。人間の目は当然、4桁のほうに引き寄せられます。しかし1日で1,889円下げた株価は、その2日後には806円戻しました。一方で10年国債の利回りは、7月1日の2.711%から2か月かけて一度も方向を変えずに上がってきています。
どちらが「ニュース」か
報道の量でいえば、圧倒的に株価です。理由は単純で、株価は毎日変わるからです。毎日変わるものは毎日記事になり、30年に1度しか起きないことは、起きた日にだけ小さく載ります。
毎日報じられるものが、毎日重要とは限らない。報道の頻度は、出来事の重要さではなく、更新の頻度で決まっている。
10年国債が3%を超えたのは1996年9月6日以来です。財務省が公開している1986年からの日次データを全部見ても、3%以上だった日は2,513日あり、その最後がその日でした。つまりいま30歳の人が生まれる前から、日本の長期金利は3%を下回り続けていたことになります。
下げ幅の話がなぜ役に立たないか
「1,889円安」という数字から、次の行動を決められるでしょうか。私はできないと思っています。理由を3つ挙げます。
| なぜ行動に結びつかないか | |
|---|---|
| 単位が場当たり的 | 日経平均が6万円台の1,889円は2.85%。3万円台なら6.3%に相当する。同じ「1,889円」でも意味が倍以上違う |
| 翌日には別の数字になる | 9月2日に1,889円下げ、9月4日に806円戻した。下げた日の数字だけを覚えていると、相場は実際より悪く見える |
| 原因が入っていない | 下げ幅は結果。なぜ下げたかは、金利・為替・海外市場のほうに書いてある |
では、何を見るか
株価より更新が遅く、方向が続きやすいものを見ます。毎日チェックする必要はありません。週に1回で十分です。
| 見るもの | どこで | 何がわかるか |
|---|---|---|
| 10年国債の利回り | 財務省 国債金利情報(日次・無料) | 成長株の逆風の強さ。住宅ローン固定金利の先行き |
| 政策金利 | 日本銀行の公表資料 | 変動金利と預金金利。長期金利とは別の動き |
| ドル円 | 各社のレート | 輸出企業の利益と、輸入物価 |
| 米国の主要指数 | 前日の終値 | 翌朝の日本株の出発点。特に半導体 |
この4つを週1回メモしておくだけで、「なぜ下げたか分からないまま不安になる」状態はかなり減ります。数字を持っていないから不安になるのであって、下げたから不安になるわけではありません。
自分の場合
私はこの4つを、株の売買記録と同じノートに書いています。効果があったのは、下げた日に「何もしなかった理由」をあとから読み返せることでした。判断の良し悪しより、そのとき何を見ていたかが残るほうが役に立ちます。
- 金利が上がると、必ず株は下がりますか
いいえ。金利が上がる理由が「景気がいいから」なら、企業の利益も増えるので株は上がることがあります。下がりやすいのは、金利上昇の理由がインフレや財政不安のときです。9月2日は後者に近い形でした。
- 毎日ニュースを見るのをやめても大丈夫ですか
積立をしているだけなら、見なくても困りません。個別株を持っているなら、持っている会社の決算と適時開示だけは見てください。指数の日々の上下は、行動を変える材料になりにくいです。
- 30年ぶりというのは、どこで確認できますか
財務省の「国債金利情報」で、1986年7月からの日次データがCSV で公開されています。この記事の数字も、そのファイルを実際にダウンロードして10年債の列を全期間さかのぼって確認したものです。
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