非課税という利点の裏側に、損失が救済されないという制約がある。
NISA 口座での損失は、他の口座の利益と相殺できません。繰越控除もできません。この一点が、銘柄選びの基準そのものを変えます。
NISA の話をするとき、たいてい「利益が非課税になる」という点が強調されます。実際そのとおりで、課税口座なら約 20% 引かれる利益がまるごと残ります。
ただ、制度には裏側があります。NISA 口座で出た損失は、税務上ないものとして扱われるのです。
損が「使えない」とはどういうことか
課税口座なら、ある銘柄で損が出ても、別の銘柄の利益と相殺して税金を減らせます(損益通算)。使い切れない損失は翌年以降に繰り越すこともできます(繰越控除)。損には損なりの使い道があるわけです。
NISA にはこれがありません。20 万円の利益が非課税になる代わりに、20 万円の損失はただの 20 万円の損失として残ります。他で相殺することも、翌年に持ち越すこともできない。
だから「勝率」より「負けにくさ」を優先する
この制約を踏まえると、NISA での銘柄選びは自然と保守的になります。私が安全域を厚めに取っているのも、値動きの荒い銘柄に対して要求する乖離を引き上げているのも、根っこはここです。
課税口座であれば「10 回中 7 回勝てばいい」という設計もありえます。しかし NISA では、3 回の負けが何にも変換されない。同じ期待値なら、損失の振れ幅が小さいほうを選ぶべき、という結論になります。
非課税の恩恵を最大化する近道は、大きく勝つことではなく、大きく負けないことだ。
枠を「使い切る」ことを目的にしない
もう 1 つ気をつけているのが、枠の消化を目的化しないことです。年間の枠が余っていると「使わないと損」という気分になりますが、枠を埋めるために基準を下げるのは本末転倒です。
私は年間予算を法定上限ではなく「今年これだけ使う」という自己申告額で管理しています。そのうえで、残枠は目標ではなく制約として扱う。買える上限であって、買うべき下限ではありません。
まとめ
- NISA の損失は損益通算・繰越控除ができず、他で救済されない
- 同じ期待値なら、損失の振れ幅が小さい設計を選ぶ
- 安全域を厚く取る根拠は、制度側の制約にもある
- 残枠は「買える上限」であって「買うべき下限」ではない
本記事は個人の考えと記録であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
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