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日経平均が8月の高値から4,199円下げました。ただし、この期間でいちばん珍しい数字は株価ではありません。
9月2日、10年国債の利回りが3.006%をつけました。財務省のデータをさかのぼると、3%台は1996年9月6日以来です。
日経平均は8月17日の69,220円から、9月3日の64,214円まで5,006円下げました。9月4日は65,020円まで戻し、高値からの下落率は6.07%です。
ただし、この下げの主役は株ではなく金利です。9月2日、10年国債の利回りが3.006%をつけました。財務省の国債金利情報をさかのぼると、10年債が3%台に乗ったのは1996年9月6日(3.06%)以来、およそ30年ぶりです。
そして9月は政治日程が詰まっています。15日に与党税制改正大綱の閣議決定(食料品の消費税を1%に下げる方針を含む)、16〜18日に内閣改造、10月初旬に臨時国会。金利と政治が同じ月に動きます。

まず数字 — 8月17日からの推移
| 日付 | 日経平均(終値) | 前日比 | 10年国債 |
|---|---|---|---|
| 8/17 | 69,220.25 | — | 2.919%(8/17) |
| 8/31 | 66,311.93 | −93.63 | 2.943% |
| 9/1 | 66,215.34 | −96.59 | 2.987% |
| 9/2 | 64,325.64 | −1,889.70 −2.85% | 3.006% 30年ぶりの3%台 |
| 9/3 | 64,214.48 | −111.16 | 2.966% |
| 9/4 | 65,020.94 | +806.46 | — |
8月17日の69,220円が、直近30営業日の終値では最も高い水準でした。そこから9月3日の64,214円まで5,005円77銭、率にして7.23%下げています。9月4日の終値で見ると、高値からは4,199円31銭(−6.07%)の位置です。
9月2日に何が起きたか
1日で1,889円70銭、率にして2.85%の下落でした。3日続落で、8月4日以来およそ1か月ぶりに65,000円を割り込んでいます。
日本経済新聞は当日の記事で、「インフレ加速や財政拡大への懸念から世界で金利の先高観が強まり、アジアの株式市場が軒並み安となっている」と書き、AI・半導体株に売りが膨らんだと伝えています。市場では1987年のブラックマンデー再来を懸念する声も出た、とあります。
30年ぶりの3%が意味すること
財務省が公開している国債金利情報は、1986年7月からの日次データです。この全期間で10年債の利回りが3.0%以上だった日は2,513日ありますが、その最後は1996年9月6日の3.06%でした。
10年国債が3%台に乗るのは、1996年9月6日以来。いま30歳の人が生まれる前から、日本の長期金利は3%を下回り続けていました。
2026年度に入ってからの推移を見ると、上がり方は急というより着実です。
| 時点 | 10年国債 | 30年国債 |
|---|---|---|
| 7月1日 | 2.711% | 3.883% |
| 8月3日 | 2.824% | 3.982% |
| 8月17日 | 2.919% | 4.050% |
| 8月31日 | 2.943% | 4.092% |
| 9月2日 | 3.006% | 4.122% |
| 9月3日 | 2.966% | 4.052% |
2か月で0.295%ポイント。数字だけ見れば小さく見えますが、金利は水準そのものより方向と速さが株価に効きます。「まだ上がる」と市場が思っている間は、将来の利益を今の価値に割り引くときの分母が大きくなり続けるので、成長期待で買われていた銘柄ほど売られます。9月2日にAI・半導体株が真っ先に売られたのは、その順番どおりです。
家計には何が起きるか
長期金利は住宅ローンの固定金利と、預金・債券の利回りに効きます。すでに借りている変動金利の人には直接は効きません(そちらは短期金利です)。
| 項目 | 長期金利が上がると |
|---|---|
| 住宅ローン(固定) | 新規の適用金利が上がる。これから借りる人に効く |
| 住宅ローン(変動) | 直接は連動しない。効くのは日銀の政策金利 |
| 定期預金・個人向け国債 | 利回りが上がる。置いているだけの現金には追い風 |
| すでに持っている債券・債券投信 | 価格は下がる。利回りが上がるほど、既発債の値段は下がる |
| 株(特に成長株) | 割引率が上がるぶん、理論価格は下がりやすい |
9月の政治日程
相場と関係なく、9月は決めごとが集中しています。時事通信が9月3日に伝えた日程は次のとおりです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 9月15日 | 与党税制改正大綱の閣議決定を目指す。飲食料品の消費税率引下げ方針を含む |
| 9月16〜18日 | 内閣改造・党人事。日本維新の会から初めて閣僚を迎える見通し |
| 9月下旬 | 国連総会で首相がニューヨークを訪問 |
| 10月2日または5日 | 臨時国会の召集案。ここに減税の法案が提出される |
食料品の消費税は、すでに方針が決まっている
大綱で新しく決まるわけではありません。首相官邸が公開している2026年7月30日の記者会見で、すでに枠組みが示されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 飲食料品(軽減税率の対象になっているもの) |
| 税率 | 8% → 1% |
| 開始 | 2027年(令和9年)4月1日 |
| 期間 | 2年間 |
| 終了後 | 2029年(令和11年)4月に8%へ戻す |
| 給付付き税額控除 | 2027年6月以降に所得連動の給付を先行導入し、2029年4月から本格導入 |
| 財源 | 「特例公債に頼らず」確保する方針 |
会見で首相は「2年後には、私が責任を持って、確実に税率を元に戻してまいります」と述べています。期限つきの減税である点が、この制度の性格を決めています。
では、何をすればいいか
結論から言うと、この情報で売買を変える必要はありません。理由を3つに分けます。
| よくある反応 | 実際 | すること |
|---|---|---|
| 金利が上がるから株を売る | 金利の上昇はもう2か月続いている。9月2日はその途中の1日で、始まりではない | 積立は止めない。止める理由が「今日の値動き」なら特に |
| 減税されるから消費を増やす | 始まるのは2027年4月。いまの家計は変わらない | 2027年4月まで待つ。それまでの生活費の設計は変えない |
| 減税が終わる2029年が怖い | 2年後に8%へ戻すと明言されている。戻ることが前提の制度 | 1%の間に浮いたぶんを使い切らず、戻る前提で家計を組む |
やることがあるとすれば、固定金利で住宅ローンを検討している人だけです。長期金利は2か月で0.295%ポイント上がりました。
| 金利 | 毎月の返済 | 総返済額の差 |
|---|---|---|
| 1.5% → 1.8% | 91,855円 → 96,327円 | +約188万円 |
| 2.0% → 2.3% | 99,379円 → 104,060円 | +約197万円 |
| 2.5% → 2.8% | 107,249円 → 112,133円 | +約205万円 |
0.3%ポイントで総額190〜200万円動きます。「まだ上がるかも」と急ぐ必要はありませんが、固定と変動を比べている段階なら、いま一度試算し直す価値はあります。ツールのページに計算機を置いています。
- 日経平均はこれからどうなりますか
わかりません。この記事は起きたことを記録するもので、予想をするものではありません。ただ、9月4日に806円戻していることは事実として書いておきます。下げた日だけを見ると、相場は実際より悪く見えます。
- 10年金利が3%を超えたのに、なぜ翌日は2.966%に下がったのですか
3%はきりのいい水準なので、そこで買い(=利回りの低下方向)が入りやすいという需給の面があります。ただし1日の上下より、7月から続いている上昇の方向のほうが重要です。
- 食料品が1%になると、家計はいくら浮きますか
ご自身の家計簿から計算できます。いまの飲食料品の税込支出 ÷ 1.08 × 0.07 が、1か月あたり浮く額の目安です。月5万円なら約3,200円、月6万円なら約3,900円、月8万円なら約5,200円。年間ではその12倍です。ただし対象品目の線引きは9月15日の大綱を待つ必要があります。外食や酒類が対象外なら、スーパーでの買い物だけで計算してください。
- 減税は本当に2年で終わりますか
首相は会見で「確実に税率を元に戻してまいります」と明言しています。ただし2029年4月時点の政権が同じとは限りません。制度の設計上は2年間で、それを前提に家計を組むのが安全です。
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