お金の基礎 04 / 制度の選択
「節税」という語に反応する前に、「原則 60 歳まで引き出せません」という一行を読んだほうがいい。
iDeCo と NISA は競合しない。優遇される場所が違うだけである。したがって優先順位は、制度ではなく各自の状況から導かれる。
NISA と iDeCo はしばしば比較される。どちらも税制優遇を伴う制度だが、優遇される場所が違う。
目次
税制上の違いは三か所に現れる
NISA は運用益と受取時が非課税である。一方 iDeCo は拠出した金額がその年の所得から全額控除される。所得税・住民税が課される所得そのものが減るため、税率が高い人ほど効果が大きい。
ただし受取時には課税対象となる。退職所得控除や公的年金等控除が適用されるため実質的な負担は抑えられるが、NISA のように完全非課税ではない。
決定的な違いは「引き出せないこと」
iDeCo は節税の道具として語られがちだが、実体は 60 歳まで解約できない私的年金である。順序を取り違えると後で困る。
iDeCo の資金は原則として 60 歳まで引き出せない。これは制度の欠陥ではなく、老後資金の形成を目的とした設計上の必然である。
拘束性は状況によって長所にも短所にもなる「使ってしまう」性格の人にとって、引き出せないことは強制力として機能する。一方、住宅取得や転職、独立といった大きな資金需要が見込まれる時期には、この拘束は明確な制約となる。
2026 年 12 月に予定される改正
iDeCo は制度改正が予定されている。主な内容は掛金上限の引き上げと加入可能年齢の拡大である。
| 項目 | 改正内容 |
|---|---|
| 自営業者等(第1号被保険者)の上限 | 月 68,000 円 → 75,000 円 |
| 会社員の上限 | 最大 月 6.2 万円へ拡大(企業年金の状況により異なる) |
| 加入可能年齢 | 65 歳 → 70 歳へ引き上げ |
| 適用時期 | 拠出限度額・加入可能年齢の引き上げは 2027 年 1 月 26 日引落分から |
受取時のルールも変更されている2026 年 1 月から、一時金で受け取る際の退職所得控除について、複数の退職金等がある場合の判定期間が 5 年から 10 年に変更された。受取方法の設計は以前より慎重な検討を要する。
優先順位の考え方
- まず生活防衛資金を確保するこれはどちらの制度よりも優先される。60 歳まで引き出せない資金に配分する前に、手元の現金を整える。
- 次に NISA を検討する流動性が高く、必要になれば売却できる。初めて資産形成に取り組むなら、まずこちらから始めるほうが安全である。
- 所得税率が高い、かつ資金拘束を許容できるなら iDeCo所得控除の効果は税率に比例する。課税所得が大きいほど有利になるため、収入が安定して高い層ほど検討価値が上がる。
なお両制度は併用できる。NISA の枠を使い切ってなお余力があるなら、iDeCo を加えるという順序が自然である。
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よくある質問
- iDeCoとNISAはどちらを優先すべきですか?
- 一般的には流動性の高い NISA が先です。iDeCo は原則 60 歳まで引き出せないため、生活防衛資金と当面の資金需要を確保したうえで検討します。所得税率が高い人ほど iDeCo の所得控除の効果は大きくなります。
- iDeCoの掛金はいつから引き出せますか?
- 原則として 60 歳以降です。加入期間が短い場合は受給開始年齢が繰り下がることがあります。途中で引き出すことは原則できません。
- iDeCoとNISAは併用できますか?
- 併用できます。両制度は独立しているため、それぞれの上限まで拠出可能です。
- iDeCoの掛金上限はいくらですか?
- 職業や企業年金の加入状況により異なります。2026 年 12 月に改正が予定されており、自営業者等は月 68,000 円から 75,000 円へ、会社員は最大月 6.2 万円へ拡大される見込みです(拠出限度額の引き上げ適用は 2027 年 1 月 26 日引落分から)。
出典
- 厚生労働省・各金融機関による iDeCo 制度改正の案内(2026 年 12 月改正予定、拠出限度額引き上げは 2027 年 1 月 26 日引落分から適用)
本記事は公開情報にもとづく個人の解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。制度・手数料・ポイント還元の条件は改定されることがあります。実際のご判断は必ず金融庁・各運用会社・各証券会社の最新の公式情報をご確認のうえ、ご自身の責任でお願いいたします。
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