NISA 徹底解説 04 / 拠出額の決定
平均額を知りたがる人は多い。たいていは、その数字で自分を裁くために。
まず実際の調査データを提示する。そのうえで、なぜその数字を目標にすべきでないかを述べる。順序を逆にしてはいけない。
NISA を始める際に必ず生じるのが「毎月いくら拠出するか」という問題である。制度上は年 360 万円まで投資できるが、これを使い切れる者は多くない。
まず実勢を確認する。
目次
20代の平均は月 42,000 円、全体平均は 58,628 円
| 年代 | 平均積立額(月) |
|---|---|
| 18〜29 歳 | 42,000 円 |
| 30〜39 歳 | 56,102 円 |
| 40〜49 歳 | 61,606 円 |
| 50〜59 歳 | 59,069 円 |
| 60〜69 歳 | 64,630 円 |
| 70 歳以上 | 53,182 円 |
| 全体平均 | 58,628 円 |
データの性格に注意これは「積立を実行している者」の中での平均であり、投資を行っていない層は母数に含まれない。また金融サービス利用者を対象とした調査であるため、同年代の一般的水準よりは上振れしている可能性が高い。
他の解説では「20 代は月 2〜3 万円が目安」とされることも多く、数値は調査により相当の幅がある。単一の数字を絶対視すべきでない所以である。
平均への追随は、しばしば失敗を招く
平均が 42,000 円と知れば、自分も同水準を拠出すべきだと考えたくなる。しかし積立投資における最大の失敗は、金額が小さいことではない。
積立で最も高くつく失敗は、金額が少なかったことではない。見栄で決めた金額に耐えられず、最悪の局面で売ることである。
下落局面で生活資金が不足し、最安値圏で売却する——これが最も回避すべき経路である。したがって拠出額は「相場が三割下落しても継続できる水準」で決定すべきだと考える。
拠出額決定の三段階
- 生活防衛資金を先に確保する疾病・失業・転居等に備え、生活費の 3〜6 か月分を現金で保持する。これを欠いた状態で投資に配分すると、下落局面で売却を強いられる。
- 固定費を控除し、確実に残る金額を算出する家賃・通信費・定額課金等を控除し、毎月必ず残存する額を把握する。賞与を前提とした計算は行わない。
- その 7 割程度を拠出額とする全額を積立に充当すれば、想定外の支出が生じた時点で破綻する。余白の確保が継続の担保となる。
増額は「昇給時」に限定する
当初決定した金額を固定し続ける必要はない。ただし増額の契機は事前に定めておくべきである。私は昇給・昇格により手取りが増加した時点に限定している。
相場上昇に伴う高揚感を契機に増額すれば、高値圏での買付量が増える。下落局面で減額すれば、安値圏での買付量が減る。いずれも意図と逆の結果を生む。
つみたて投資枠で足りる理由つみたて投資枠は年 120 万円、月換算で 10 万円である。平均積立額(月 58,628 円)を大きく上回っており、多くの利用者はつみたて投資枠だけで枠が余る。枠の使い分けを検討する前に、拠出額の決定を優先すべきである。詳細はつみたて投資枠と成長投資枠の違いを参照されたい。
要点
- 調査では 20 代の平均は月 42,000 円、全体平均は 58,628 円(2024 年 4 月・n=1,294)
- ただし「積立実行者の中での平均」であり、調査により数値には相当の幅がある
- 平均に追随せず、三割下落しても継続できる水準で決定する
- 生活防衛資金 → 固定費控除後の残額 → その 7 割、の順で算出する
- 増額は昇給時に限定し、相場によって上下させない
よくある質問
- 20代のNISA平均積立額はいくらですか?
- 株式会社400Fが2024年4月に実施した調査(有効回答1,294人)では、18〜29歳のつみたて投資枠の平均積立額は月42,000円でした。全世代平均は58,628円です。
- 毎月いくらから積立を始められますか?
- 証券会社により異なりますが、月100円ないし1,000円から設定できる場合が一般的です。金額の大小より継続可能性を優先して決定するのが現実的です。
- 積立額は途中で変更できますか?
- 変更可能です。増額・減額・一時停止のいずれも行えます。ただし相場を見て頻繁に変更すると、高値で多く安値で少なく買う結果を招きやすいため、変更条件を事前に定めておくことを推奨します。
- つみたて投資枠を使い切るには月いくら必要ですか?
- 年間120万円であるため月10万円です。平均積立額を大きく上回る水準であり、多くの利用者はつみたて投資枠だけでも枠が余る計算になります。
出典
- 株式会社400F(オカネコ)「新NISAの利用率は約5割」調査(2024 年 4 月 4〜7 日実施、n=1,294)
- 金融庁「NISAを知る」(つみたて投資枠の年間投資枠)
本記事は公開情報にもとづく個人の解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。制度・手数料・ポイント還元の条件は改定されることがあります。実際のご判断は必ず金融庁・各運用会社・各証券会社の最新の公式情報をご確認のうえ、ご自身の責任でお願いいたします。
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