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お金の基礎 09 / 退職金
受け取り方を選べる制度で、選択を放置すると、たいてい不利な側に倒れる。
一時金と年金では課税の仕組みが根本的に異なる。さらに 2026 年からは iDeCo との受取間隔のルールが変更された。
退職金は受け取り方によって手取りが変わる。同じ金額でも、一時金で受け取るか年金形式で受け取るかで、課される税と社会保険料が異なるためである。
目次
三つの選択肢

一時金 — 退職所得控除が使える
一時金で受け取る場合、勤続年数に応じた退職所得控除が差し引かれる。さらに控除後の金額の 2 分の 1 だけが課税対象となる。
この二段構えの優遇により、退職金は他の所得と比べて税負担が軽く設計されている。
年金 — 公的年金等控除が使えるが合算される
年金形式で受け取る場合は公的年金等控除の対象となる。ただし公的年金と合算して計算されるため、公的年金の額が大きい人ほど税負担は重くなりやすい。
また年金として受け取る期間中は、社会保険料の算定にも影響する場合がある。
2026 年 1 月からの「10 年ルール」
ここが今回最も重要な変更点である。従来、退職一時金を受け取った年の前年以前 4 年以内に他から退職金等を受け取っていると、退職所得控除が調整される仕組みだった。
これが 2026 年 1 月から、前年以前 9 年以内へと延長された。いわゆる「5 年ルールが 10 年ルールになった」という変更である。
影響を受けるのは iDeCo との組み合わせiDeCo を一時金で受け取り、その後に会社の退職金を受け取る場合、両方で退職所得控除を満額使うには 10 年以上の間隔が必要になった。従来の 5 年を前提に受取時期を設計していた場合、想定より税負担が増える可能性がある。
制度は変わる。5 年前に立てた受け取り計画が、いまも最適である保証はない。
検討の順序
- 勤続年数から退職所得控除の額を把握する控除額は勤続年数で決まる。まずこの枠がいくらあるのかを確認しなければ、一時金と年金の比較ができない。
- iDeCo・企業型DCの受取時期を確認する複数の退職金等がある場合、受け取る順序と間隔で税額が変わる。10 年ルールの適用範囲に入っていないか確認する。
- 公的年金の見込額を確認する年金形式を選ぶ場合、公的年金と合算される。ねんきん定期便やねんきんネットで見込額を把握しておく。
- 併用も選択肢に入れる一部を一時金、残りを年金とすれば、退職所得控除と公的年金等控除の両方を使える。勤務先の制度が対応しているか確認する。
この分野は個別性が高い勤続年数、他の退職金の有無、公的年金の額、その年の他の所得によって最適解は変わる。金額が大きく、やり直しがきかない領域であるため、実行前に税理士または勤務先の担当部署への確認を推奨する。
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よくある質問
- 退職金は一時金と年金のどちらが得ですか?
- 勤続年数、iDeCo など他の退職金の有無、公的年金の見込額によって変わります。一時金は退職所得控除と 2 分の 1 課税が使え、年金は公的年金等控除が使えますが公的年金と合算されます。
- 2026年の「10年ルール」とは何ですか?
- 退職所得控除の調整対象期間が、前年以前 4 年以内から前年以前 9 年以内へ延長された変更です。2026 年 1 月から適用されており、iDeCo の一時金と退職金を近い時期に受け取る場合の税負担に影響します。
- iDeCoと退職金は何年空ければいいですか?
- 改正後は、両方で退職所得控除を満額使うには 10 年以上の間隔が必要になります。間隔を空けられない場合は、どちらかを年金形式で受け取る方法も検討対象になります。
- 退職金の受け取り方は後から変更できますか?
- 勤務先の制度によります。受け取り開始後の変更は難しい場合が多いため、決定前に確認してください。
出典
- 国税庁「退職金と税」、令和 7 年度税制改正にもとづく退職所得控除の調整期間の変更(2026 年 1 月適用)
本記事は公開情報にもとづく個人の解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。制度・手数料・ポイント還元の条件は改定されることがあります。実際のご判断は必ず金融庁・各運用会社・各証券会社の最新の公式情報をご確認のうえ、ご自身の責任でお願いいたします。

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