ドルコスト平均法とは — 定額購入が平均取得単価を下げる仕組みと、その限界

ドルコスト平均法とは — 定額購入が平均取得単価を下げる仕組みと、その限界

読了時間の目安約 4 分1,700 字

投資の基本 05 / 積立の仕組み

積立が推奨される理由は「コツコツが大事だから」ではない。数式上の理由がある。

定額購入には計算上の性質がある。それを理解すれば、なぜ金額を固定するのかが分かる。

結論

ドルコスト平均法は「毎回同じ金額」で買う方法です。価格が高いときは少なく、安いときは多く買うことになるので、平均取得単価が算術平均より低くなります。

ただしこれは万能ではありません。右肩上がりの相場では、最初にまとめて買ったほうが結果は良くなります。下げ続ける資産では、平均単価が下がっても損は減りません。

それでも積立が勧められるのは、買うタイミングを判断しなくて済むからです。数式の優位性より、続けられることのほうが効きます。

積立投資では「毎月一定の金額」を買い付ける。「毎月一定の口数」ではない。この違いには意味がある。

目次

計算で確認する

Fig. 定額購入と平均取得単価Fig. 定額購入と平均取得単価|価格が下がった月ほど多くの口数を購入できるため、平均取得単価は単純平均を下回る。
価格が下がった月ほど多くの口数を購入できるため、平均取得単価は単純平均を下回る。

上の例では、4 か月の価格の単純平均は 7,125 円である。しかし実際の平均取得単価は約 6,667 円になる。

理由は単純で、価格が安い月には同じ金額でより多くの口数を買えているからである。安い月の購入量が多く、高い月の購入量が少ないため、加重平均が単純平均より低くなる。

これは相場観ではなく算術の話価格が上がると予想しているから積み立てるのではない。金額を固定すれば自動的にこの性質が生じる。判断も予測も介在しない点が、この手法の実用的な価値である。

限界もある

ドルコスト平均法は万能ではない。以下の点は理解しておく必要がある。

  1. 価格が一貫して上昇し続ける場合、一括投資のほうが有利になる——早く買ったほうが多く保有できるため
  2. 損失を防ぐ手法ではない——平均取得単価が下がるだけで、価格が下がり続ければ評価損は出る
  3. 対象が長期的に成長する前提が必要——価値が下がり続ける資産で続ければ、平均単価を下げながら損失が拡大する

ドルコスト平均法が守ってくれるのは、買うタイミングを間違えるリスクだけである。何を買うかを間違えるリスクは守ってくれない。

それでも積立が勧められる理由

理論上は一括投資が有利になる場面があるにもかかわらず、実務では積立が勧められることが多い。理由は行動の側にある

  • 一括で投じた直後に下落すると、精神的に耐えられず売却してしまう可能性がある
  • タイミングを計ろうとして、結局いつまでも投資を始められない
  • 毎月の給与から拠出するなら、そもそも一括で投じる資金がない

つまり積立は、理論上の最適解というより継続できる可能性が最も高い方法として選ばれている。

関連記事

よくある質問

ドルコスト平均法とは何ですか?
価格が変動する商品を、毎回一定の金額で買い付ける手法です。価格が安いときには多くの口数を、高いときには少ない口数を購入することになり、平均取得単価が単純平均より低くなる性質があります。
ドルコスト平均法は損をしない方法ですか?
違います。平均取得単価が下がるだけで、価格が下がり続ければ評価損は発生します。買うタイミングのリスクは平準化しますが、何を買うかの判断は代替しません。
一括投資とどちらが有利ですか?
価格が一貫して上昇する局面では一括投資が有利です。ただし下落直後に売却してしまう行動リスクや、そもそも一括で投じる資金がないという現実を踏まえると、積立のほうが継続しやすい方法といえます。
毎月同じ口数を買うのではだめですか?
口数を固定すると、価格が高いときに多くの金額を投じることになり、平均取得単価を下げる効果が働きません。金額を固定することがこの手法の要点です。

本記事は公開情報にもとづく個人の解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。制度・手数料・ポイント還元の条件は改定されることがあります。実際のご判断は必ず金融庁・各運用会社・各証券会社の最新の公式情報をご確認のうえ、ご自身の責任でお願いいたします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

自作の株価スクリーナー「KAIRI」の検証と、WordPress サイトの制作をしています。数字は IR・官公庁・取引所の一次情報で裏を取り、自分のツールが出した答えも疑ってから記事にしています。間違いに気づいたときは、記事の中で訂正します。

コメント

コメントする

目次