NISAとiDeCo、両方やるべき? — 60歳まで出せないお金をいくらにするか【お金の勉強 第10回】
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結論順番は、生活防衛資金 → NISA → iDeCo。iDeCoを最初に埋めるのは、たいてい早すぎる。
iDeCoの最大の特徴は節税ではなく「原則60歳まで引き出せない」こと。ここを先に受け入れられるかで決まる。
手数料は加入時2,829円、毎月171円、受取時1回440円。金額が小さいうちは、この固定費の比率が無視できない。
運営管理機関の手数料が無料のところを選べば、かかるのはこの4つだけ。
新卒で NISA を始めた私が、皮肉屋の先生に聞いていく連載の第10回です。今回は「iDeCoもやったほうがいいのか」という、たいてい後回しにされる話。
NISAは積立を始めました。次はiDeCoもやったほうがいいって、会社の先輩に言われたんですが。
事実だ。しかも威力はある。ただ、その説明には決まって続きが抜けている。原則60歳まで引き出せないという一行だ。
「節税」という語に反応する前に、その一行を読んだほうがいい。60歳まで、というのは君にとってあと35年以上ある。
想像できないものに毎月お金を入れる、というのが iDeCo の本質だ。私も人のことは言えないが、そこは正直に受け止めたほうがいい。
目次
順番は決まっている
先生の言い分を私なりに整理すると、こういう順番になった。
STEP
生活防衛資金
生活費の3〜6か月分を、いつでも引き出せる場所に。ここが空のまま投資を始めると、暴落と出費が重なったときに投げ売りすることになる。
STEP
NISA
いつでも引き出せて、利益が非課税。使う予定が決まっていないお金は、まずここ。
STEP
iDeCo
60歳まで引き出せない代わりに、掛金が所得控除になる。上の2つが埋まってから。
でも節税の分、iDeCoを先にしたほうが得じゃないですか?
「得」の計算に、引き出せない不便さが入っていればね。転職、結婚、引っ越し、病気。35年のあいだに現金が要る場面は必ず来る。そのとき iDeCo の残高は君を助けない。
課税所得と税率で変わる。年収300万円台の会社員なら、所得税と住民税を合わせておおよそ15%前後。月2万円を積むなら年24万円で、ざっと3万6,000円が戻る計算だ。悪くない。
大きい。だが、その3万6,000円のために24万円を35年間ロックする、という取引でもある。順番の話をしているのは、そのためだ。
手数料は「率」ではなく「円」で効く
もうひとつ、先生が念を押したのが手数料の話だった。iDeCoは投資信託の信託報酬とは別に、口座そのものに固定費がかかる。
| いつ | 何に | 金額 |
|---|
| 加入時 | 国民年金基金連合会(初回のみ) | 2,829円 |
| 毎月(拠出する月) | 連合会 105円 + 事務委託先金融機関 66円 | 171円 |
| 受け取るとき | 振込1回ごと | 440円 |
| 毎月 | 運営管理機関(金融機関ごとに異なる) | 0円〜数百円 |
金額は2026年8月時点。運営管理機関手数料だけが金融機関によって違いますfigcaption
掛金が月2万円なら0.86%だ。信託報酬0.06%の投資信託を選んで喜んでいる隣で、その14倍の固定費を払っていることになる。
掛金が月5,000円なら3.4%だ。ここまで来ると、運用でどうにかする話ではない。iDeCoは、少額でちびちび始めるのに向いていない。
そういうことだ。そして「ある程度まとまった額を、60歳まで動かさない」と言えるかどうか。言えないなら、まだ NISA を厚くするほうが素直だ。
運営管理機関(金融機関)の手数料は、無料のところと有料のところがあります。ここだけは自分で選べる項目なので、無料の金融機関を選ばない理由はありません。
それでもiDeCoを選ぶ場面
では誰がやるべきか。先生の答えは短かった。
課税所得が大きい人、そして老後資金として別枠で固めておきたい人だ。所得が高いほど控除の効きは大きくなる。それに、引き出せないという欠点は、使ってしまう癖のある人にとっては長所に反転する。
知らん。自分で判断したまえ。ただ、君はまだ NISA の枠すら埋めていないだろう。
なら答えは出ている。今年やることは iDeCo を始めることではなく、いまの積立を止めないことだ。地味だが、これがいちばん効く。
まとめ
今回の要点を並べておく。
| 論点 | 結論 |
|---|
| 順番 | 生活防衛資金 → NISA → iDeCo |
| iDeCoの本質 | 節税より先に「60歳まで引き出せない」を受け入れられるか |
| 向いている人 | 課税所得が大きい人/老後資金を物理的に固定したい人 |
| 向いていない人 | 数年内に大きな支出が見込まれる人/掛金が少額の人 |
| 金融機関選び | 運営管理機関手数料が無料のところを選ぶ |
- NISAとiDeCo、片方しかできない場合はどちらを優先すべきですか?
多くの場合はNISAです。いつでも引き出せるため、ライフイベントで現金が必要になっても対応できます。iDeCoは原則60歳まで引き出せません。
- iDeCoの手数料は誰に払うのですか?
国民年金基金連合会、事務委託先金融機関(信託銀行)、運営管理機関(証券会社や銀行)の3か所です。このうち運営管理機関の手数料だけが金融機関によって異なり、無料のところもあります。
- iDeCoの掛金はいくらから始められますか?
月5,000円からです。ただし毎月171円の固定手数料がかかるため、掛金が小さいほど手数料の比率が高くなります。
- 途中でやめられますか?
掛金の拠出を止めること(運用指図者になること)はできますが、それまでに積み立てた資産を引き出すことは原則としてできません。
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次回は「ボーナスが出たとき、積立額を上げるべきか」を扱います。一度上げた積立額を下げるのは、想像以上に難しい、という話から始める予定です。
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・商品の売買を推奨するものではありません。数値は執筆時点のものです。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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この記事を書いた人
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