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下げの主因は決算でも米国でもない。15 年ぶりの協調介入による円高である。
日経平均 −1.74% の裏で、キオクシアは +6.86%。しかもそのキオクシアは、前場のうちに −4.58% から +11.81% まで振れている。
日経平均は 8 月 3 日前引けで 前営業日比 1,121.51 円安(−1.74%)の 63,240.51 円。3 日ぶりの大幅反落である。下げの主因は為替——7 月 31 日に15 年ぶりの日米協調介入が実施され、円相場は 164 円に迫る水準から一時 155 円台まで約 5% 急伸した。これに前営業日の 2,494 円高に対する戻り待ちの売りが重なった。ただし指数と個別は割れている。キオクシアは +6.86%——自己株式取得の開始日である。
15 年ぶりの日米協調介入で円は 164 円台から 156 円台へ。「円建ての S&P500 は、なぜ指数が上がっているのに評価額が減るのか」を扱っています。【番外編】為替介入と高市政権 — このままS&P500を持ち続けていいの?
前場の数字

| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 前営業日(7/31)終値 | 64,362.02 円 |
| 始値(9:00) | 63,834.95 円(−527.07 円) |
| 安値(10:18) | 62,703.47 円(−1,658.55 円/−2.58%) |
| 前引け | 63,240.51 円(−1,121.51 円/−1.74%) |
| 連続性 | 3 日ぶりの大幅反落 |
先週金曜に 2,494 円上げて、今日の前場で 1,121 円戻した。先週の上げの半分弱を、半日で吐き出した計算になる。
下げの材料は 3 つある
① 15 年ぶりの日米協調介入(最大の材料)
7 月 31 日、日米両政府が外国為替市場で円買いの協調介入を実施した。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施日 | 2026 年 7 月 31 日 |
| 何年ぶりか | 日米協調介入としては 2011 年の東日本大震災直後以来 15 年ぶり |
| 円買いに限れば | 1998 年のアジア通貨危機時以来、約 28 年ぶり |
| 介入規模 | 日本側で 6〜9 兆円との報道 |
| 米国側 | 米財務省がユーロを売って円を買う介入を実施したと報道 |
| 今後 | 8 月 3 日に日米共同声明を発表する方向で調整 |
背景には歴史的な円安がある。対ドルの円相場は 7 月下旬に 1 ドル=164 円に迫り、およそ 40 年ぶりの安値水準にあった。
| 時点 | ドル円 | 164 円との比較 |
|---|---|---|
| 7 月下旬 | 164 円に迫る | 約 40 年ぶりの円安水準 |
| 7 月 31 日 | 協調介入を実施 | — |
| 8 月 3 日 始値 | 157.40 円 | — |
| 8 月 3 日 安値 | 155.23 円 | 約 −5.4%(円高) |
| 8 月 3 日 昼 | 156.50 円前後 | 約 −4.6%(円高) |
約 1 週間で 7 円以上の円高。輸出企業の想定為替レートを揺らすには十分な幅である。
円高は輸出企業の採算に逆風になる。海外で売った代金を円に換えたときの金額が減るためだ。自動車・機械・電機といった輸出比率の高い業種に売りが出た。
② 前営業日の急騰に対する戻り待ちの売り
7 月 31 日の +2,494.59 円(+4.03%)は、前日の米ハイテク株高を受けたものだった。この上昇に乗り遅れた売り手が、戻ったところで売った。
とくに 7 月 31 日は海外短期筋の買いが AI・半導体関連に集中していたとされる。短期の買いは、短期で反対売買が出る。
③ 米国市場は上げていた
念のため確認しておくと、前週末の米国市場は上昇している。
- ダウ工業株30種平均 52,485.03 ドル(+276.97 ドル/+0.53%)
- ナスダック総合指数 25,373.85(+251.68/+1.00%)
- 支えたのはアマゾンの好決算
つまり今日の下げは米国発ではない。為替と国内の需給が主因である。「アメリカが下げたから日本も下げた」という説明は、今日に関しては当てはまらない。
キオクシアは指数に逆らった

7 月 31 日の記事で「決算に対する市場の答えが出るのは 8 月 3 日」と書いた。答えは、単純ではなかった。
| 時刻 | 株価 | 前日比 |
|---|---|---|
| 前営業日終値 | 46,500 円 | — |
| 始値(9:03) | 47,500 円 | +2.15% |
| 安値(9:07) | 44,370 円 | −4.58% |
| 高値(10:08) | 51,990 円 | +11.81% |
| 前引け | 49,690 円 | +6.86% |
寄り付き直後に一度マイナスへ沈み、そこから 1 時間で 17% 戻した。これは「好決算だから買われた」でも「織り込み済みで売られた」でもない。両方が同じ前場のうちに起きたという結果である。
なぜ最初に売られたのか
第 1 四半期の実績は文句のつけようがなかった。しかし第 2 四半期(7〜9 月期)の見通しが市場予想に届かなかったとの見方が出た。会社が示した親会社所有者帰属の四半期利益は 1 兆 2,700 億円(前年同期比 31 倍)である。
前年同期の 31 倍でも、市場の期待に届かなければ売られる。株価は絶対値ではなく期待との差で動く。
なぜそこから買われたのか
- 大幅増益の見通しそのものは強い——四半期で 1 兆 2,700 億円は事実である
- 株主還元が同時に出ている——上限 8,000 億円の自己株式取得と 1 対 3 の株式分割
- その自己株式取得が、今日から始まった——取得期間は 8 月 3 日〜10 月 30 日
7 月 31 日に挙げた「見るべき 4 点」の答え合わせ
- 決算に対する最初の反応売られてから買われた。安値 44,370 円(−4.58%)から高値 51,990 円(+11.81%)。前引けは +6.86%。「好決算で上がるか、好決算でも売られるか」の答えは「両方」だった。
- 自己株式取得の開始本日から開始。10 月 30 日まで市場買付が入る。ただし金額上限が先に効く点は変わらない。
- 半導体セクターが追随するか追随していない。キオクシア単独の動きである。自作スクリーナーで見ると半導体 10 銘柄の 5 日騰落率の中央値は −5.4% で、まだマイナス圏にある。
- 円相場の方向これが最大の変数になった。協調介入で 164 円台から 155 円台へ。為替が個別材料を上回る影響を持った 1 日である。
スクリーナーで見た足元の全体像
自作スクリーナー KAIRI で 279 銘柄を集計した。8 月 3 日 12 時 18 分(昼休み)時点の 5 営業日騰落率(中央値)である。
| 業種 | 5 日騰落率(中央値) | 銘柄数 |
|---|---|---|
| 小売・エンタメ | +0.6% | 24 |
| 情報通信 | −2.1% | 20 |
| 自動車 | −2.2% | 13 |
| 電機・精密 | −3.0% | 29 |
| 半導体(日本) | −5.4% | 10 |
| 素材・化学 | −5.3% | 25 |
| 建設・不動産 | −6.7% | 16 |
| 金融 | −7.9% | 25 |
- プラスを保っているのは小売・エンタメだけ——内需で為替の影響を受けにくい
- 金融が −7.9% と最も悪い——円高は日銀の追加利上げ観測を後退させやすく、銀行株の逆風になりやすい
- 半導体は −5.4%——8 月 1 日時点の −15.8% からは戻したが、まだマイナス圏
- 割安判定は 279 銘柄中 48 銘柄、平均乖離は −5.9%
なお乖離の大きい上位には SCREEN HD(+101.7%、スコア 80)や住友不動産、積水ハウスといった名前が並ぶ。ただしこれは目標 PER 15 倍を前提とした私の仮説にもとづく計算値であり、そのまま買える数字ではない。半導体については、市況産業のピーク利益で計算した適正株価は当てにしにくいという論点が残ったままである。
今週見るべきこと
- 日米共同声明の内容(8 月 3 日)介入の目的と今後の姿勢がどう書かれるか。「継続的に対応する」といった文言が入れば、円高方向の圧力が続きやすい。
- 7 月の米雇用統計今週発表される。米国の金融政策見通しに直結し、為替を通じて日本株にも波及する。
- 国内の決算発表主力企業の発表が続く。各社の想定為替レートと、実勢の 156 円との差が業績見通しに効く。
- キオクシアが水準を保てるか前場は +6.86% だが、安値からは 17% 戻した位置にある。自己株式取得という買い手が入る一方、需給の支えと企業価値は別物である。
今日の整理
- 日経平均は前引け 63,240.51 円、−1,121.51 円(−1.74%)で 3 日ぶり大幅反落
- 主因は7 月 31 日の日米協調介入による円高。164 円台から一時 155 円台へ
- 協調介入は 15 年ぶり、円買いに限れば約 28 年ぶり。8 月 3 日に共同声明の予定
- 前営業日の +2,494 円に対する戻り待ちの売りも重なった
- 米国市場は前週末に上昇していた。今日の下げは米国発ではない
- キオクシアは +6.86% と指数に逆行。ただし前場のうちに −4.58% から +11.81% まで振れた
- 半導体セクターは追随していない(5 日騰落率の中央値 −5.4%)
- 為替が個別材料を上回る影響を持った 1 日だった
指数が下げた日に、個別が上げることはある。今日はその両方が同時に観測できた。「相場が悪い」の一言で片づけると、何が起きたか分からなくなる。
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よくある質問
- 2026年8月3日の日経平均の前引けはいくらですか?
- 前営業日比1,121.51円安(−1.74%)の63,240.51円で、3日ぶりの大幅反落となりました。始値は63,834.95円、取引時間中の安値は10時18分の62,703.47円(前営業日比−1,658.55円、−2.58%)です。
- 日経平均が8月3日に下落した理由は何ですか?
- 主因は円高です。7月31日に日米両政府が円買いの協調介入を実施し、7月下旬に1ドル164円に迫っていた円相場が8月3日には一時155円台まで、約5%急伸しました。円高は輸出企業の採算に逆風となります。加えて前営業日に2,494円上昇した反動の戻り待ち売りも出ました。
- 日米の協調介入は何年ぶりですか?
- 日米の協調介入としては2011年の東日本大震災直後以来15年ぶり、円買いの協調介入に限れば1998年のアジア通貨危機時以来、約28年ぶりとなります。日本側の介入規模は6〜9兆円と報じられており、8月3日に日米共同声明を発表する方向で調整されています。
- キオクシアの株価は決算後どうなりましたか?
- 8月3日前引けは前営業日比3,190円高(+6.86%)の49,690円でした。ただし一本調子ではなく、9時7分に44,370円(−4.58%)まで売られたあと、10時8分に51,990円(+11.81%)まで買われています。安値から高値までの振れ幅は7,620円、17.17%でした。
- 半導体株は全体的に戻っていますか?
- 完全には戻っていません。自作スクリーナーで日本の半導体10銘柄を集計すると、8月3日時点の5営業日騰落率の中央値は−5.4%です。8月1日時点の−15.8%からは改善しましたが、まだマイナス圏にあります。8月3日の上昇はキオクシア個別の動きで、セクター全体は追随していません。
出典
- 日経平均・ドル円・個別株価はYahoo!ファイナンスおよび株式新聞Webの2026年8月3日前引け時点の公表値
- 日本経済新聞「日米が15年ぶり協調介入、円安阻止で思惑一致 3日に共同声明で調整」
- 時事通信「日米、円買い協調介入か 28年ぶり、円安阻止へ異例の連携」
- NHK「円安是正へ日米が異例の協調介入 3日に日米共同の声明発表へ」
- 日本経済新聞「日経平均株価、一時1200円安 戻り待ちの売り先行」(2026年8月3日)
- 日本経済新聞「キオクシアHD、株価一時7%高 大幅増益見通しと株主還元支え」(2026年8月3日)
- キオクシアホールディングス「2027年3月期 第1四半期決算短信」「自己株式の取得枠設定に関するお知らせ」(2026年7月31日開示)
- 業種別騰落率および割安判定は自作スクリーナー KAIRI による集計(2026年8月3日12時18分時点、279銘柄)
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