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積立が止まる原因は、意志の弱さではなく設計の問題である。
給与日の翌日に自動引き落とし、金額は余ったお金ではなく手取りから逆算、口座を見る回数は月1回に減らす。
金融庁の集計では、つみたて投資枠の口座の約半数は年間で一度も買付がない。始めることより、続けることのほうが難しい。
積立投資でいちばん難しいのは、始めることではない。続けることでもない。やめないことである。
半分の口座は、動いていない
金融庁が公表しているNISAの利用状況を自分で集計すると、なかなか厳しい数字が出てくる。つみたて投資枠の口座のうち、年間で一度も買付がない口座が全年代で51.2%、20代に限れば42.9%ある。
口座を開いた人の半分は、開いただけで終わっている。これは意志の問題として片づけられがちだが、私はそう思わない。仕組みが悪いだけである。
続いている人は、毎月「続けよう」と決意しているわけではない。決意しなくても続く形にしてあるだけだ。
仕組み① 給与日の翌日に自動化する
余ったら積み立てる、という設計にすると、余らない月が必ず来る。そして一度スキップすると、次の月もスキップしやすくなる。
順番を逆にする。給与が入った翌営業日に、自動で引き落とされるようにしておく。残ったお金で生活する。これだけで「今月は積み立てるかどうか」という判断そのものが発生しなくなる。判断が発生しなければ、判断を間違えることもない。
仕組み② 金額は手取りから逆算する
いくら積み立てるかを「なんとなく」で決めると、たいてい多すぎるか少なすぎる。多すぎれば途中で苦しくなって止まり、少なすぎれば続いても意味が薄い。
手取り・生活費・いまの貯金の3つから逆算するのが現実的だ。目安はこう置いている。
| いまの貯金 | 余剰(手取り − 生活費)のうち積立に回す割合 |
|---|---|
| 生活費の3か月分 未満 | 30%(まず現金を厚くする段階) |
| 3〜6か月分 | 50% |
| 6か月分 以上 | 70% |
仕組み③ 見る回数を減らす
毎日評価額を見る人ほど、やめやすい。当たり前で、下がっている日を見る回数が増えるからだ。
人間は同じ金額でも、増える喜びより減る痛みを強く感じる。1万円増えた喜びより、1万円減った痛みのほうが体感で倍近い。毎日見れば、その痛みを毎日浴びることになる。
見る回数は月1回で足りる。それ以上見ても、積立の設定を変えないのであれば行動は何も変わらない。行動が変わらないのに感情だけ動くのは、単に損である。
やめてよい3つの場合
もっとも、何があっても続けろという話ではない。積立を止めてよい理由は、私が思うに3つしかない。
住宅の頭金、学費、結婚。使うために貯めたのだから、使うときに取り崩すのは正しい。
収入が大きく減った、家族が増えた。生活が回らない状態で積立を続けるのは本末転倒である。
一つの資産に偏りすぎたとき。これは「やめる」ではなく「組み替える」だが。
逆に言えば、相場が下がったから止める、というのはこの3つに入らない。むしろ同じ金額で多く買える局面である。理屈では分かっていても効かないのは知っているが、仕組みで自動化してあれば、その理屈を毎月実行してくれる。
- 毎月いくら積み立てるのが正解ですか?
一律の正解はありません。手取りから生活費を引いた余剰のうち、貯金の厚さに応じて30〜70%が目安です。貯金が生活費3か月分に満たないうちは、投資より現金を厚くするほうが優先です。
- 相場が高いときに始めるのは損ですか?
一括で買うなら高値掴みのリスクがありますが、毎月一定額を買い続ける積立では、高いときは少なく、安いときは多く買うことになります。始めるタイミングを当てようとして始めないほうが、機会損失は大きくなりがちです。
- 積立を一度やめたら、また始められますか?
できます。NISAの積立設定はいつでも再開できます。ただ、止めている期間の分だけ買付の機会は失われます。金額を下げてでも続けるほうが、止めて再開するより現実的です。
- 評価額はどれくらいの頻度で見ればいいですか?
月1回で十分です。設定を変えないのであれば、見る回数を増やしても行動は変わりません。

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